あまり知られていない?金融庁から提言された投資業界の課題3選

金融機関の監視・監督などの金融全般の業務を行う金融庁。
よりよい投資環境を整えるために期待されることを今年5月に公表しています。

本記事では、各資産運用会社に対する金融庁の意見をもとに、現状の投資環境における課題を見ていきます。

目次

金融庁によるレポート「資産運用業高度化プログレスレポート2022」

本記事は、2022年5月に金融庁から公表されている「資産運用業高度化プログレスレポート2022」から内容を抜粋して作成しました。

金融庁は投資環境全体の機能向上を目指す上で、資産運用業の高度化が課題であるという認識の元、以下のようにレポートを公開しています。

金融庁は、資産運用会社等とのモニタリングや対話を通じて把握した資産運用の高度化に向けた取組みの進捗状況、それらを踏まえて更なる取組みが必要と考えられる事項や資産運用ビジネス全体の課題及び当庁の対応について、「資産運用業高度化プログレスレポート2022」として取りまとめました。

出典:金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2022」の公表について

投資業界の課題3選

一物多価の現況

同一のベンチマークに連動するインデックスファンドの中でも、信託報酬のバラツキがある点も問題視しています。

以下の図は、日経平均、TOPIXをベンチマークとするインデックスファンドの信託報酬の水準を示したものです。

このように、同一の資産運用会社の中でもバラツキが見られます
信託報酬の引き下げが実施されている例はあるものの、その適切な水準への見直しについては業界全体で取り組むべきとしています。

ESG投資について

ESGはここ最近できた考え方で、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉です。

この3つの観点に配慮した経営(ESG経営)をすることでSDGs達成に貢献できるという考え方が世界中で広まっています。

しかし、多くのESG投資信託において、企業の選定基準の曖昧さや目論見書における運用手法の表現が抽象的であるとの指摘があります

つまり、企業分析した結果、ESG評価が高い企業とされたとしてもどんな基準で投資するか決定したかなどのプロセスの透明性が低く、しかも「持続的に利益の成長がありそうだから投資する」というように顧客には中身があまり分からないという現状なのです。

この点、金融庁としては顧客への情報提供や開示を積極的に進めるべきとしています。

また、償還期限を「10年以下」と設定しているESG投資信託が全体の37%を占めています。これは、中長期的な視点をもってのESG投資という性質に対して相反する仕組みになっているのも問題です。

ファンドラップとバランスファンド

ファンドラップについては別記事「投資信託における長期投資に向かない地雷商品やサービスに要注意」でも紹介しています。

ファンドラップは簡単にいうと、お金を預けるから運用をお任せしますという契約を結ぶ投資手法です。

投資のプロに任せたからパフォーマンスが良いだろうという誤解もありますが、その実情はバランスファンドに劣るものが多いということです(以下画像参照)。その理由は年率1.5%以上のコストが負のリターンとなることにあります。

また、保守的な運用を希望された場合、安全資産の比率を高めながらコストだけを払い続けることになり、顧客の資産を減らし続ける運用手法をとることになります。この点、金融庁はあえて高いコストのファンドラップを利用する必要性はないと考えているようです。

この「販売会社と顧客利益の利益相反」は仕組み上の問題ともいえますね。

おわりに

いかがでしたでしょうか?投資環境全体の機能向上のために金融庁が働きかけていることがわかりましたね。これからも動向は注視したいと思います。

本記事ではレポート内容の一部をお話ししています。
もっと詳しく知りたい方は今回参考にした金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2022」の公表についてからご覧ください。

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