【ドル円】米国財務省が日本を為替監視対象に、私たちにはどのような影響がある?~個人投資家の投資戦略について~

米国財務省は6月20日、為替政策報告書を公表しました。その中で、日本が為替監視対象に追加されました。
これは、日本経済にどのような影響があるのでしょうか?

本記事では、なぜ日本が為替監視対象となったのか、為替市場・経済に与える影響はどのようなものがあるのか探ります。さらに、個人投資家の投資戦略について私見も交えて解説していきます。

目次

はじめに

為替監視対象とは何か?

米国財務省が通貨操作を行っている国を監視対象に指定することで、5月に発表された為替報告書では、中国や日本、ドイツ、韓国、ベトナムなど9カ国が指定されています
(参考)為替操作国 – 経済ナレッジバンク

何故、日本が為替監視対象に指定されたのか?

米国財務省は主要な貿易相手の通貨政策を分析し、為替報告書を半年ごとに発表しています
その中で、一定基準に該当した国を為替監視対象として公表しています

今回、日本の特定の政策や経済指標が通貨操作とみなされた可能性があります
どのような基準で監視対象と判断されたのか、次章で解説します

米国財務省が為替監視対象を指定する基準

主な基準として以下3つがあり、いずれか2つに該当すると「監視対象」、3つに該当すると「為替操作国」への指定が検討されます

出典:為替操作国 – 経済ナレッジバンク

では今回、日本はどの基準に該当したのでしょうか?
2023年のデータ・状況を見てみましょう

基準に関する項目2023年のデータ・状況上記の基準に該当
米国に対する貿易黒字624億ドル
為替介入による外貨購入ドル売り・円買い×
経常黒字のGDP比3.5%
参考:米財務省、2023年下半期までの為替報告書を公表、経常収支と貿易黒字理由に日本を監視対象に追加

前回は該当していなかった経常黒字の基準が今回該当し、2つの基準を満たしたため為替監視対象となりました

影響①:為替市場への影響

米国財務省は為替報告書にて、「日本は外国為替介入を定期的に報告しており、透明性がある」として、特段問題視するような言及はありません

4月と5月に政府・日銀が行った為替介入でさえ、「明白な円高を招くという点で影響は限定的だった」と分析しており、日本は通貨安定のための為替運営をしたまでという受け止めをしているようです。

このような認識が広がる中でも、投機勢による円売りは過去に例を見ないほどに膨らんでおり、2024年07月現在は1ドル160~161円付近の攻防が続いています。

影響②:経済への影響

国内消費と企業業績への影響

為替レートの変動は輸入品価格に影響するため消費者物価にまで波及する可能性が高いです
特に、エネルギーや食料品を輸入に依存している日本経済にとっては円安は物価上昇の圧力となりえます

物価上昇が続くと、国内消費が抑制・減退してしまうことが懸念され、小売・サービス業の業績不振に繋がる可能性があります

雇用への影響

企業の業績が苦境に陥る場合、それに連動して雇用の減少や賃金低下など、雇用環境の悪化が生じる可能性があります

個人投資家の投資戦略への影響

では、我々個人投資家はどうすればよいのでしょうか?投資戦略を見直す必要があるのでしょうか?

結論としては、資産形成期であるのであれば特に為替を考慮する必要はありません
とはいっても、為替変動への向き合い方を決めておくことでどっしりと構えて資産運用を続けられますので、ここでは”資産形成期であれば為替を考慮する必要がない”という理由と、私が実践している対策案について共有します

長期積立投資ならパフォーマンスに与える影響は少ない

まず、為替は長い目で見ればレンジ相場を形成しています
ドル円で考えると、2011年頃の円高時で1ドル80円弱、今年2024年は歴史的円安として1ドル約162円。つまり約2倍ですね

その間、 S&P500 や 全世界株式 は何倍になっているでしょうか
それぞれの指数に連動するETFのリターンを見てみましょう

ETF投資対象2011年初の基準価額 [$]2024年初の基準価額 [$]リターン [倍]
VOOS&P500116.22434.013.73
VT全世界株48.23102.012.12
参考:Investing.com

いずれも為替より大きなリターンとなっていることがわかりますね
年平均利回りに直すと6~10%となります
また、株式というアセットは長期的に見れば右肩上がりであるのに対し、為替はそうではありません(通貨危機等を除けば)

以上より、長期で毎月積み立てていくという投資手法は為替要因を平準化する点でも理にかなっているといえます

為替変動への対応策と私見

ここでは資産形成中の私、ユキたまはどのように考えて対策しているか共有したいと思います
結論は以下3点です

  • 為替は読めないものと割り切る
  • 円安/円高のどちらに振れても大丈夫なポートフォリオを形成する
  • 円の収入だけでなく、ドルの収入も増やす

それぞれについて解説していきます

為替は読めないものと割り切る

私が米国株を買い始めた当初は、為替によって投資タイミングを狙っていました

しかし、110円→125円→130円とみるみるうちに円安に振れてしまい、2024年7月現在では160円までになっています。この間、「いずれは1ドル100円まで戻ってくるだろうから、その時に買おう」と思いながら、安くなっていく円を握りしめ続けていました。その結果、ここ2~3年で株価も上昇してしまい、今ではあの頃の価格では買えない水準にまでなってしまいました。

このように、為替で投資タイミングを計るというのは一種の機会損失につながる可能性があるのです

また、2023年末の「来年のドル円はどうなるか」という話題では、多くの経済アナリストが140~130円まで円高に振れるだろうという予想をしていました

しかし蓋を開けてみると…2024年7月現在、1ドル160円前後となっているわけです
これは米国の景気が予想より落ち込まなかったことで、年内の利下げが想定より遅れることに起因すると思われます
つまり経済予測は専門家でも読めない=為替変動は読めない ということに他なりません

ましてや、個人投資家がコントロールできるものでもないですから、精神衛生の観点でも”読めないもの”として割り切ることが無難と私は考えます

円安/円高のどちらに振れても大丈夫なポートフォリオを形成する

資産配分(アセットアロケーション)として、株式:現金=4:6などの考え方はありますが、ここでは円資産とドル資産の配分を考えるイメージです

以下2つのポートフォリオはどちらも 株式:現金=4:6 の配分となっています

左だと現金は円で保有、株は米国株。右では株式と現金ともに円とドルを半々で保有するポートフォリオとなっています
左右のポートフォリオを比較すると、左のほうが為替変動の影響を大きく受けることが分かるでしょうか

このように、為替変動が資産評価額に与えるへの影響を小さくするようなポートフォリオにすることで、”為替がどちらに振れても大丈夫”というスタンスを取ることができるようになります

円の収入だけでなく、ドルの収入も増やす

資産配分にもつながるのですが、月々の収入を円だけでなくドル収入も増やしていくことも対策となります

日本に住み、日本の会社に勤めているなら給与は大多数が円で受け取るはずです。
さらに、日々の生活費の支払いには円を使っているでしょう

そんな生活費にも為替が関係してきます
日本は食料品、エネルギーの多くを輸入に頼っていますから、円安に振れると物価上昇の圧力がかかります

円だけを稼いでいると円安時に購買力が相対的に低下してしまいます
そのためドルを稼ぐことがリスクヘッジとなるのです

そんな私は米国のETFを保有することで、(少額ながら)ドルの不労所得を得ています
今後も買い付けを続けて、いずれは給与と同水準まで増やしていきたいと思っています

まとめ

  • 米国財務省が日本を為替監視対象とした理由と日本経済への影響を解説しました
  • 個人投資家は為替とどのように付き合っていけばよいか考えてみました
  • 為替変動に関して私が実践している対策案について共有しました

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