「平均貯蓄額」「平均金融資産額」といった話題は関心を引くテーマの一つです。
特に、お金や資産額に関する話題はNG扱いされる風潮が根強い分、他人のお金事情は気になるもの…
しかし、こうした他人と自分の資産額を比較することは、本当に役に立つのでしょうか。
本記事では、他人の資産額を気にすることのデメリットを話しつつ、向き合い方や活かし方について解説します。
デメリットは”資産形成における航路を見失う”こと
皆さんは、資産形成を始めた目的は即答できるでしょうか?
よくあるものですと、老後への備えや教育資金、早期リタイア・FIREを目指している方もいらっしゃると思います。
このように、資産形成を始める目的は人それぞれであり、しかも一つとは限りません。
老後資金と教育資金を同時に考えている方もいれば、「将来の安心感を得たい」「選択肢を増やしたい」といった、数値化しづらい目的を持つ方も多いでしょう。
となると、
- 必要な資産額
- お金が必要になる時期
- 取れるリスクの大きさ
は、人によって大きく異なります。
当然、目標を達成するための方法論も様々です。
にもかかわらず、統計データという“他人の集合体”と自分を比較してしまうと、
本来見るべき方向(=自分の資産形成の航路)を見失いやすくなります。
自分に必要なお金が見えにくくなる ~統計に基づいた比較の罠~
例えば、金融経済教育推進機構から出された「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」にて、
- 平均金融資産額:(二人以上世帯)1940万円、(単身世帯)919万円
- 中央値:(二人以上世帯)720万円、(単身世帯)130万円
といったデータが示されています。
これを見て色々感じるところがあると思いますが、この数字には
- 年齢(20代〜70代以上)
- 世帯人数
- 共働きかどうか
といった属性の違いが全て混ざっています。
そのため、自分の状況と直接比較すること自体が難しいものなのです。
さらに、「平均より少ない=ダメ」「中央値より多い=安心」と短絡的に判断してしまうと、本来考えるべきことが抜け落ちてしまいます。
比較することで焦り、投資方針を見失う
他人と比較することで、「もっと攻めないといけないのでは?」「このままだと置いていかれるのでは?」と焦ってしまう人も少なくありません。
特に、「平均に追いつくために」「周りがやっているから」という理由で高リスクな投資手法に手を出すと、資産形成どころか、途中で市場から退場してしまう可能性もあります。
現実的には、
- 投資期間を長くする
- 積立額を少しずつ増やす
- 収入を増やす・支出を減らす
といった、自分でコントロールできる部分に注力する方が有効です。
大切なのは「必要な時に必要なお金があるか」
資産形成の目的は突き詰めると、「必要な時に、必要なお金を用意できること」です。
平均や他人より多いか少ないかではなく、”自分のライフプランに対して十分かどうか”という視点を失わないようにしましょう。
向き合い方や活かし方
ここまで見てきた通り、統計データは、そのまま自分と比較するには不向きです。
一方で、完全に無意味かというと、決してそうではありません。
重要なのは、「答えを出すために使う」のではなく、「考えるきっかけとして使う」というスタンスです。
金額ではなく「割合」と「傾向」に目を向ける
統計データが比較的役に立つのは、金額そのものではなく割合や傾向です。
例えば、
- 貯蓄・投資に回している割合
- 現金とリスク資産のバランス
- 世の中全体が「貯蓄から投資」へどの程度シフトしているか
といった点は、自分の家計を見直す際のヒントになります。
「平均との差」ではなく「計画との差」を見る
統計データを見たときに意識したいのは、
平均との差ではなく、自分の計画との差です。
- 〇歳時点で、これくらいあれば安心
- 〇年後に必要になる支出に間に合っているか
- 想定した計画より遅れているのか、進んでいるのか
こうした視点で見るのであれば、「世の中の平均」は一つの背景情報として役立ちます。
不安を煽られたら、一度立ち止まる
統計データは、見せ方次第で受け手の不安を強く刺激します。
- 「平均〇〇万円に届いていない」
- 「これからは投資しないと取り残される」
こうした情報に触れたときこそ、「これは自分に本当に関係のある話か?」と一度立ち止まることが大切です。
資産形成は短距離走ではなく、長距離走です。
他人のペースに引きずられず自分自身の航路を守ることが、豊かな未来につながります。
まとめ
「平均貯蓄額」や「平均金融資産額」といった統計データは、確かに目を引く数字です。しかし、それらは他人の人生を平均した結果であって、皆さんの人生の答えではありません。
むしろ、他人と資産額を比較することで、
- 自分に必要なお金が見えにくくなる
- 焦ってしまい、投資方針を見失う
といったことが起こりやすくなります。
統計データは、あくまで参考情報の一つです。
不安を煽る材料ではなく、自分の家計や資産形成を見直す「きっかけ」として、冷静に活用していきましょう。
大切なのは、
平均と比較してどうかではなく、自分にとって十分かどうか。
他人より多いかどうかではなく、必要な時に間に合うかどうか。
この視点を忘れずに、無理のない資産形成を続けていきましょう!

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