2024年からスタートした新NISA、投資に興味を持って始めた方も少なくないと思います。
一方、NISAができる前から投資をしている方の中には特定口座でも運用している方もいるでしょう。現在、そんな方を悩ませている問題があります。
それは…”特定口座の資金を新NISAに移す” のと ”そのまま特定口座で運用を続ける” この2つのどっちがお得なのかという問題です。
本記事では、特定口座から新NISA口座へ移したほうが良いパターン、移さないほうが良いパターンについて解説していきます。
特定口座から新NISA口座へ移した方がいいケース
結論、以下のいずれかの条件に該当する場合は、特定口座から新NISAへ移すのがお得になります。
- 金融商品の評価損益がマイナスまたはプラマイゼロ
- NISAにおける1800万円の生涯投資枠を使い切れない
- 新規投資資金がない
- 金融商品の評価損益が+25%以下
① 金融商品の評価損益がマイナスまたはプラマイゼロ
金融商品の評価損益がマイナスやプラマイゼロの状態の場合、売却しても課税されません。
そのため、特定口座で保持しているよりも、新NISAの非課税枠に移すことで今後の利益を最大限に活用できます。
損失を抱えた金融商品は税金面でのコストがないため、早期に売却して非課税運用に切り替えることで、将来的な成長の可能性を見込むことができます。
② NISAにおける1800万円の生涯投資枠を使い切れない
NISAには簿価ベースで1800万円が生涯投資枠として用意されています。この枠を埋めきれないと予想される場合、早めに特定口座から新NISAに移行するのが得策です。
枠を使い切れない人は特定口座で運用していても、将来的にその資産を活用する際には必ず課税が発生します。一方で、新NISAに移行しておけば、その後の運用利益がすべて非課税になるため、長期的な資産増加の観点から大きなメリットがあります。
③ 新規投資資金がない
新規投資資金が少ない、または今後の新規投資が困難な場合、特定口座で運用する資産を新NISAへ移すことを検討すべきです。
特定口座で運用している資産をそのままにしておくと、将来的に利益確定時に課税されます。一方、新NISAでは非課税運用が可能になるため、手持ちの資産を効果的に活用できます。
特に、投資可能額が少ない方にとっては、限られた資金をいかに効率よく運用するかが重要な課題です。NISAの非課税枠を使うことで、課税の心配なく利益を最大化できる点が大きな魅力です。
④ 金融商品の評価損益が+25%以下
特定口座内の金融商品の評価益が現時点で25%以下の場合、新NISAへの乗り換えによる課税の影響が少なく、移行する方が有利になります。
例えば、100万円の評価額に対し、20万円の利益(評価損益+25%)が出ている場合、移行時に課税される金額はわずか約4万円(20.315%×20万円)です。この程度の税金であれば、新NISAの非課税運用による将来的な利益で十分に取り戻せます。
逆に、利益率が高い場合は課税額が大きくなるため、移行時に資産が大幅に目減りする可能性があります。そのため、利益率が低いうちに移行することが合理的な判断となります。
特定口座から新NISA口座へ移さない方がいいケース
結論、以下のいずれかの条件に該当する場合は、特定口座から新NISAへ移すのは控えた方が良いです。
- NISAにおける1800万円の生涯投資枠を使い切る
- 含み益が多く、新規投資資金も多い
① NISAにおける1800万円の生涯投資枠を使い切る
NISAには簿価ベースで1800万円が生涯投資枠として用意されています。新規投資資金が豊富で、比較的短期間(10年未満)でこの枠を使い切れる見込みがある人は、特定口座の資産をわざわざ移行する必要はありません。
特定口座で保持している資産を売却して新NISAに移すと、その際に含み益に対して課税されます。そのため、1800万円の枠を他の新規資金で埋められる場合、特定口座の資産を動かさずに現状の運用を継続する方が税金面で有利となります。特に、資産を長期運用する方で毎月安定した投資が可能な方は、このケースに該当しやすいです。
② 含み益が多く、新規投資資金も多い
特定口座の金融商品の含み益が大きく、なおかつ新規投資資金が十分にある場合も、移行は控えた方が良いです。
たとえば、特定口座において100万円の評価額に対し、含み益80万円程度(評価損益+400%)がある場合、移行時に課税される税金は約16万円(20.315%×80万円)にもなります。これだけの額を一度に失うと、NISA移行後の非課税運用で取り戻すのにかなりの時間が必要となる場合があります。
また、新規投資資金がある程度ある人は、その資金で新NISA枠を埋めることができるため、特定口座の資産を移す必要性が低いといえます。含み益が多い場合は現状のまま運用して増やし、必要なタイミングで取り崩しを検討する方が効率的です。
4. まとめ
新NISAの非課税制度を活用することで、長期的な資産形成に大きなメリットを得られる可能性がありますが、特定口座から新NISA口座への資金移行による損得は個々の状況によって異なります。
自分はどうすれば?と迷っているという方は是非、本記事で解説したポイントを参考にしてみてください!
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