投資初心者から経験豊富な投資家まで、「どの株をどのタイミングで買うべきか」という問いに悩むことは少なくありません。株式市場が大きく下落しているとき、心のどこかで「今が買い時かもしれない」と思いながらも、下落相場の不安に押されてタイミングを見極められないことがよくありますよね。
特に、高配当ETFは安定したインカムゲインを提供する一方、購入タイミングによって将来的なリターンが大きく変わるため、慎重な判断が求められます。
そこで注目したいのが VIX指数 です。通称「恐怖指数」とも呼ばれるこの指数は、投資家心理や市場のボラティリティを反映する指標として知られています。
VIX指数が上昇する時期は、一般的に市場が下落傾向にあるタイミングと一致することが多く、この時期を「割安で仕込むチャンス」と捉えることが可能です。
この記事では、VIX指数をどのように活用すれば高配当ETFの買付タイミングを最適化できるのか、その具体的な方法を解説していきます。市場の動揺を逆手に取り、リターンの最大化を目指す投資戦略を考えてみます。
VIX指数を参考に投資タイミングを決める方法
インカムゲインを求める高配当株投資において、高い利回りが期待できるタイミングで株を仕込む(購入する)ことが重要であることは言うまでもありません。
しかし、利回りが高くなるタイミングを計ることは株価の下落を予想するようなものであるため、容易ではありません。そこで、利回りが高くなるときに起こる兆候を過去データから探してみると、とある傾向が見えてきます。
下図は米国を代表する高配当ETFであるVYMの分配金利回りとVIX指数のグラフです。
過去を遡ると分配金利回りが上昇するタイミングが定期的に来ていることが分かります。
しかも、そのような局面ではVIX指数も上昇する傾向があることも読み取れます。
この相関関係を活用して、「VIX指数が一定値に達した場合に買付を行う」というルールで実践している方もいますね。
実践する際の注意点と対策
1.買付を判断するVIX指数の設定値の見極めについて
VIX指数を買付タイミングの判断材料にする際、どの水準を基準とするかが重要となります。
一般的に、VIXが20を超えると不安が高まっている状態、30を超えると市場がパニック状態と見なされますが、これは絶対的な目安ではありません。
対策としては、一律な数値にこだわらずに、「VIXが30に到達したら1回目の買付、40を超えたら2回目の買付をする」等、段階的に買い増しをする方法もあります。
他にも、VIXだけでなく、RSI(相対力指数)やMACDなどの他の指標や経済ニュースを参考にしても良いでしょう。
2.相場によっては短期間で頻繁に買付するはめに
例えば、VIX=30 を基準に買うことを考えてみます。
過去のVIX指数の推移(下図)を見てみると、2022年の期間で何回もVIXが30を上回っていることが分かります。その数なんと10回!
このような相場の中で、その都度買付ができるほど余剰資金を残しながら入金できるかは少し疑問ですし、現実的ではないですね。
3.割安でないタイミングであるリスク
VIX指数が上昇しているからといって必ずしも割安であるとは限りません。
2024年8月にあった利上げショックではVIX指数が平常時より高くなっていました。
しかし、その時のS&P500指数や、VYMの分配金利回りを見ても、買い場という状況にはなっていませんでした。
対策としては、利回りが比較的高い水準にあるかであったり、個別株であれば銘柄のPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの評価指標も確認することで割安かどうかを見極めることができそうです。
まとめ
高配当ETFを効率的に購入するために、VIX指数を参考にする方法は有効な戦略ですが、万能ではありません。短期的な混乱を逆手に取る投資が可能となりますが、ポイントを理解して慎重に活用することが重要です。
最後に、VIX指数はあくまで市場のボラティリティを示す一つの指標に過ぎません。
他の指標なども参考に総合的な判断を下すことをお勧めします。
リスクとリターンをバランスよく管理し、長期的に安定した資産形成を続けていきましょう!
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